独立して良かったことの一つに、時間の融通が効くようになった、というのがあります。折角なので心身ともに健やかに過ごせるように日々を設計していくなかで、様々な専門家の方と関わるという仕事柄にマッチして、かつ家族との時間も豊かにしてくれるインプットの要素として、歴史や哲学といった人文領域に一定の時間を割くライフスタイルが定着してきました。
ということで、今回は最近本で読んだ墨子についてです。まずなぜ墨子先生について読もうと思ったかというと、「兼愛」とか「非攻」といったキーワードで有名な方、という程度の知識しかなかったのでもう少し知りたいなと思ったのと、戦国の世にあって「非攻」といういわば逆張りの夢想っぽい思想を展開しながらも、実際守備にめっぽう強く、弱い国を助けていたというのでヒーロー的なカッコよさを感じたから、という単純な理由からです。
さておき、さらっと読んだ本(『墨子』監修:松枝茂夫・竹内好、訳:和田武司。墨家が残した『墨子』の現存する原書の一部抜粋、訳出したもの)を振り返ると、一貫して兼愛主義、実利主義に基づく論やストーリーが展開されつつ、非攻主義、尚賢、非命、非楽、非儒などについて説いており、現代の生活やビジネスにも応用できそうな勉強になるエッセンスが詰まっていて面白かったです。孔子批判も辛辣で、孔子を複眼的に観る上でも、有意義な視点を与えてくれる内容でした。
一方、今の価値観とは違うところももちろんあって、特に常に君主と臣民という構図を念頭に論を重ねているので、その点、人間関係が割とフラットになった現代の日本社会などとは結構感覚が違う部分もあるなと思います。そこを踏まえて墨子の論をどう捉えて、実生活に役立てるか考えないといけないな~と思いました。
と、例によって取り留めない浅薄な備忘録的記事です(笑)が、やはり大先生方の発想には現代人としても学ぶところ多いものだと思ったので書き留めてみた次第です。